回鍋肉の、肉とキャベツだけ希望

はたらく

飲み会があった。
席はくじ引きとのこと。

上座も下座も、主役席もない。

「大学のサークルか」と心の中でつっこみつつ、
こういう形も今は自然なのかもしれないと思った。


私の隣には新人が座った。
料理が運ばれてきても、あまり動かない。

何をしたらいいかわからない、というより、
特に何も考えていないようにも見えた。


サラダを取り分けてもらえる?と声をかけると、
「野菜が苦手なので」と、やんわり断られた。

そのあとも、料理が運ばれてくるたびに、
大皿から自分の食べられるものだけを選んでいる様子だった。


目上を立てる、といったことも、
もしかするとあまり前提ではないのかもしれない。

続かない会話を拾っては、上司にパスをする。
少しだけ気を遣う時間が続いた。


こういう場面で感じる違和感を、
「最近の若い子は」と言い切ってしまうのは、
なんとなく違う気がしている。


ふと、その子が自分の親のことを
「お父さん」「お母さん」と呼んでいたのを思い出した。

それが何かを意味しているのかはわからないけれど、
どこかでつながっているのかもしれない、とも思う。

自分の親の呼び名を、他人の前では「父」「母」に変えることは、
今も昔も学校で教えることではないらしい。


回鍋肉の肉とキャベツ以外の具を、
あんなに意識して食べたのは、はじめてだ。

私は彼女の分もサラダをよく食べ、肉を譲り、会話を拾い、よく働いた。

私はそんな私が嫌いじゃないんだ。

この記事を書いた人
なすちゃん

はたらき、そだて、ときどきあそぶ。

休日はマイクラで絶景を探しながら、理想の暮らしをコツコツ設計中。
現実では、冷蔵庫の中身と相談しながら、その日の最適解を探しています。

辛いものが好き。
映えない料理も好き。

どんな日も、食べていれば大丈夫。
そんな実感を、静かに綴っています。

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