回鍋肉の、肉とキャベツだけ希望

はたらく

飲み会があった。

席はくじ引きとのこと。

上座も下座も、主役席もない。

「大学のサークルか。」

心の中でつっこみつつ、
こういう形も今は自然なのかもしれないと思った。

私の隣には新人が座った。

料理が運ばれてきても、
あまり動かない。

サラダを取り分けてもらえる?と声をかけると、

「野菜が苦手なので。」

と、少し申し訳なさそうに笑った。

それなら仕方ない。

私はサラダを取り分け、
空いた皿を寄せ、
途切れそうな会話を拾っては上司へ渡す。

気づけば、
回鍋肉の肉とキャベツだけが、きれいになくなっていた。

残ったピーマンも、
にんじんも、
玉ねぎも、
私がよく食べた。

若い頃の私は、
こういう役回りは損だと思っていた。

誰かが動けばいいのに、と。

でも今は違う。

気がつけば、
自然と手が動いている。

誰かの分まで野菜を食べて、
誰かの代わりに場をつないで、
それで案外、お腹も心も満たされている。

私はそんな私が嫌いじゃない。


この記事を書いた人
なすちゃん

はたらき、そだて、ときどきあそぶ。

休日はマイクラで絶景を探しながら、理想の暮らしをコツコツ設計中。
現実では、冷蔵庫の中身と相談しながら、その日の最適解を探しています。

辛いものが好き。
映えない料理も好き。

どんな日も、食べていれば大丈夫。
そんな実感を、静かに綴っています。

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