あのセリフを、一度でいいから言ってみたい。
私、失敗しないので
周りを黙らせて、
仕事を奪い取るように引き受けて、
そして見事に成功する。
命を救うという圧倒的な正義と達成感。
そんな展開に憧れることがある。
けれど私の仕事は、
そういうドラマにはならない。
頭の中では何度も、
例のセリフをかっこよく決めているのに、
現実は、あっちへ根回し。
こっちでにこにこ、ぺこぺこ。
それでも通したいものがあるから、
少しずつ話をして、
少しずつ理解を求めて、
少しずつ前に進める。
あの術後のような、
スカッとした結末はなかなか訪れない。
私に必要なのは、
忍耐と持久力。
肉と辛いものが支えだ。
私が肉を焼き始めると、
子どもたちは「焦がしの天才」とからかって寄ってくる。
いやいや。
見て、美味しそうに焼けてる。
失敗してないでしょ。
