こだわりの行方

そだてる

今朝、次男は前髪で世界を止めていた。

静電気でおでこにくっつくのが、どうしても許せないらしい。

櫛で梳かすでもなく、頭を左右に振ったり、手で髪をぐしゃぐしゃにしたり。

前髪は一層おでこに張り付いて、不機嫌になる。

私は思う。

人生、もっと大きな悩みがこの先いくらでもあるよ、と。

そしてそんなことより着替えませんか、と

でも言わない。

前髪は、今の彼にとっては重大案件だ。


チョコトーストを用意する。

リクエスト通り、端までしっかりたっぷり塗る。

塗り終わったスプーンを見せると、

さっきまで世界と戦っていた子が、

笑顔で飛んでくる。

ぺろり。

満足。

前髪のこだわりは、どこへ。

たぶん、チョコの前では誰もが無力。


私は自分用にベーコントーストを焼く。

6Pチーズをちぎって置くのが、今朝の小さなこだわり。

少し形が残っているほうが、噛んだとき楽しい。

完璧より、もにっと。

五歳の前髪を笑えない。

私だって、朝からチーズの配置に真剣だった。


私も次男も、

どうでもいいことで機嫌を崩し、

些細なもので立て直る。

前髪と6Pチーズ。

親子だな。

この記事を書いた人
なすちゃん

はたらき、そだてて、ときどきあそぶ。

仕事にはわりと全力。
休日はマイクラで理想の暮らしをコツコツ設計中。
現実では、冷蔵庫の中身と相談しながら、その日の最適解を探しています。

仕事のこと。子どもたちのこと。
自分でもよくわからない、自分のこと。

毎日の中で妙に心に残ったことを、
食べものに着地しながら書いています。

どんな日も、食べていれば大丈夫。

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