職場内カサンドラ症候群とは
職場内カサンドラ症候群とは、自閉スペクトラム症(ASD)の人やいわゆるグレーゾーンと呼ばれる人と仕事上密接に関わる側が、当事者との意思疎通がうまく取れないために、精神的苦痛が大きくなることで不調を起こしてしまう状態を指します。
正式な病名ではありません。
私は、4月から特性があるっぽい新人の教育係をやっています。もうすぐ1年。毎日、隣で仕事を教えていますが、仕事上のコミュニケーションがうまく取れず、普通では考えられないエラーが続き、それに耐える日々を送っています。
過去の経緯はこちらから
まさに渦中なので、なかなか自分の精神状態を客観視することが難しいのですが、私は今、何に苦しんでいるのか分析してみました。
仕事の成果と配慮の間での苦しさ
この子はグレーゾーンなのではないかと気がついてからは、数々のコミュニケーションエラーや仕事上のミスは、悪意や怠惰の結果ではないと思うようにしてきました。
その一方で、目の前で繰り広げられる考えられないようなミス、考え方、言動に、つい「なぜそうなった?」反射的に問いかけてしまうのです。答えが返ってこないことも経験上わかっているのに。
場面緘黙症といって、特定の場所や状況で話すことができなくなる精神疾患があるそうで、仕事でミスが発覚し、私になぜ?と詰められると一言も返してくれませんでした。
仕事ですから成果が求められます。ミスやエラーをそのままにするわけにはいかず、間に合わないものを間に合わせ、誤りを直すことばかりです。
周りに理解されない苦しさ
こうした状況に、上司や同僚に散々相談や愚痴、このままではいけないと訴えてきましたが、実際に何か動きがあることはありませんでした。
確かに仕事の覚えは悪いかもしれないけれど、大器晩成タイプかもしれないよ。
一生懸命やってるじゃない。多めに見てあげて。
部下をうまく使うのが、仕事ができる上司だよ。
この類のアドバイスや返しは、カサンドラに苦しんでいる人をとても絶望させます。
いくら事象を説明しても、それを目の当たりにしなければ本当に理解したことにはならず、それがカサンドラになる原因のひとつなのです。
合理的配慮という正論
合理的配慮とは、障害のある人の社会的なバリアを取り除くため、事業者側の負担が重すぎない範囲で必要な対応をすることです。2024年4月から、事業者による障害のある人への「合理的配慮の提供」が義務化されることになりました。(政府広報オンラインより)

ただ、これは当人の申し出や自覚がある前提での対応で、無自覚だったり隠している場合は、合理的配慮のステージに移ることすらできません。
受診を勧めることもできず、仮に診断が出たら雇用形態が変わり給与が下がるかもしれない。その責任を負ってまで、面倒を見られる人はどれだけいるのでしょうか。
やはり現実的に、今、隣でミスをカバーし、コミュニケーションエラーに耐え、自分の仕事を全うしようとしている同僚への具体的なケアについては、正解がないのが現状なのです。
現状の解決策は、疲弊した側が逃げること
私はあくまでもポジティブな理由で異動を希望しています。
ただ、次に「隣に座る人」のことが心配でなりません。
そして彼のことも気にかかっています。今のままでは加害者にもなり、被害者にもなり得るから。
「何か配慮が必要であれば上司との面談を取りもつし、具体的に配慮することを教えてくれれば実践する気持ちがある。それほどまでに仕事のミスが多いので、考えて欲しい」と伝えたことがありましたが、返事はありませんでした。話の意味がわからなかったようでした。
合理的配慮という言葉の先に、隣に座る人たちへの配慮やフォロー体制が具体的に語られる時代が早くきますように。
ほうれん草とベーコンのソテー

ほうれん草は毎週買っている野菜のひとつ。ベーコンと一緒に炒めて味付けは塩胡椒でチャチャっと。お弁当のおかずに重宝します。
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